「まさか、こんなことになるとは。」
昨年の5月、この合唱団に顔を出してから1年半、公演を終えた率直な感想です。
合唱にだけ参加するつもりでいた入団当初。
「君、カネトだから。」と指揮の塩澤先生に肩を叩かれた10月。
初めてソロと合唱と合わせたときの体の震え。次第に熱を帯びていく練習。
汗を搾りながら何度も通した夏の日。自分の体よりかなり大きなアイヌの衣装。
満員のお客さん。スポットライト。会場に鳴り響く拍手…。
まさかこの公演が、自分にとってここまで大きなステージになるとは、全く想像もしていなかったのです。
北海道から全く知らない飯田の地へやってきて、仲間たちや地元の人々と協力しながら、飯田と三河の人たちの生活、「心をつないだ」川村カネト。
飯田線も天竜峡もほとんど知らずにこの地に赴任してきた私も、ある意味カネトと共通点があるといえるのかもしれません。
でも、カネトは測量士や人夫たちを統率した頼もしいリーダーでしたが、私はなんとも頼りない歌い手でした。
実行委員の方々、先生方、最後まで迷惑と心配をかけてしまいました。
そんなみなさんのおかげで本番の演奏では、一緒に歌った三河の方と飯田のメンバー、お客さんと合唱団の「心をつなぐ」ステージであったと思います。
私もこれから飯田でのことを思い出すたび、あの公演の日を思い出すでしょう。
貴重な体験をさせていただき、本当にありがとうございました。
井出貴博(ベース・カネト役)